終身雇用制度が崩壊しつつある昨今、子育て世帯の親は大企業に勤務し続けることはメリットになりうるのでしょうか。
僕はかつて日系大手メーカーに務めていましたが、将来について考えた結果、あえて転職するという選択をしました。
家族を養う立場において、選択すべきキャリアは単身者とは違う視点が必要になると考えています。
本日は共働き子育て世帯のキャリア論についてお伝えします。
目次
家庭を守るための戦略を考える
子育てしつつキャリア形成するにあたり、まず考えるべきは家族を守ることです。
万が一仕事をクビになったり、働けなくなったりした際、それに耐えられるだけのお金や体制を準備しておくことを最優先事項としたうえで、自身のキャリアを検討していきます。
自分一人の生活であれば責任も一人ぶん背負えばよいので問題ないかもしれませんが、家族を持つ場合は問題が様々な問題が出てきます。妻や子どもの生活を支えるために仕事し、収入を確保することは親として必要最低限のことと考えています。
僕が家族を守るために考えたキャリア戦略は以下です。
1.先を見据えてあえて転職する
2.ポータブルスキルを獲得できる職につく
3.共働きを継続できるよう家事・育児に積極的にかかわる
順番に解説していきます。
先を見据えてあえて転職する
人生100年時代において、これから先60歳を越えても働き続ける必要性が増しています。
一方、昨今はITを中心に技術進歩が著しく進み、今まで大企業と呼ばれていた会社が次々と淘汰されています。
僕は以前、大手企業でエンジニアとして務めていました。
そこでは自分のやりたい仕事もある程度できていたし、給料も大手ならではの水準だったため、さほど不満もありませんでした。
しかし、子どもができて自分や家族の将来を考えたときに、「今後この会社で働き続けた場合、自分は社会にとって価値のある人間になれるだろうか」と疑問に思うようになりました。
当時僕はエンジニアとして働いていましたが、使用する技術は枯れたものが多く、常に新しい技術が生まれるITという業界において完全に遅れを取っていました。
ここで働き続けていても古い技術しか身につかず、世の中からみたニーズはかなり低いものばかり。それならばと、プロジェクトマネジメント(PM)の道で自分のキャリアを形成していこうとも考えましたが、当時僕が所属していた部署は年配の方が多く、年功序列制の強い企業では出世するまで時間がかかり、PMの職につくまでにしばらくかかりそうといこともわかっていました。
この会社にいてもしばらく安泰だろうけど、万が一クビになったりしたときに外にアピールできる経験やスキルが少ない。そう感じた僕は「環境を変えることのリスク」より、「環境を変えないことのリスク」をヘッジするためにあえて転職を決意しました。
これは自分のやりたいことをやるという思いもありますが、一番は家族を長期で養っていくために必要なことと捉え、選択した道です。
ポータブルスキルを獲得できる職につく
1つ目の理由に近いですが、今後さらに転職する可能性があることを踏まえ、転職時に役立つスキルを身に着けたいと考えていました。
僕が転職する前の社会的価値としては以下になります。
・ITに関する知見
・プログラミングとPM(サブリーダーレベル)の経験
・大企業での働き方(多数のステークホルダーとの調整)
担当している事業はプラットフォーム製品の開発だったので、そこまで汎用性の高いものではありません。
なので、業務に関する経験や知見で勝負することになります。
しかし、先に記載したとおりプログラミング経験は古い技術を扱っていたため、社会的なニーズはあまり高くないと感じていました。
(もちろんひとつの言語を扱えれば他言語の習得はある程度楽にできるというメリットはあるので、一定の価値はあるという前提です)
そこで、社会でも通用するための人材になるべく、以下の条件にあう企業への転職を検討しました。
1.ITに関われる会社(今後しばらく食っていける可能性が高い、かつ同業界なので知見が活かせる)
2.企画系や分析計の仕事ができる会社(仮説検証や起案スキルはどこの会社でも必要、かつ自分の苦手分野なので磨きたい)
3.収入は前職と同等以上を確保(直近の生活水準を維持)
端的に言うと、どこの会社でも食っていけるようなスキルや経験を身につけることが可能で、前職と同等以上の収入が得られる会社ということになります。
僕の場合はエージェントを活用し、結果的に約二ヶ月の転職活動で納得の行く転職先を見つけることができました。
転職直後は前職以上に忙しく、家庭の時間を削ってしまうこともありましたが、慣れてきた今では仕事もある程度コントロールできるようになり、今では転職してよかったと心から思えます。
これから先、今の会社でいつまで働くかは決めていませんが、今後どこに行っても活躍できるようなスキルや経験を身に着けつつ仕事ができていると感じています。
共働きを継続できるよう家事・育児に積極的にかかわる
自分のキャリアとは少し違う話になるのですが、家族全体の収入を増やすにあたり、妻が働き続けることは大きなメリットがあります。
片働きの親が仕事を頑張って収入を300万増やすより、パートナーが働きに出て300万稼いだほうが現実的かつ税制面でもメリットが大きいからです。
とはいえただ妻に働いてくれといっても一方的な要望にしかなりません。妻が働けるよう、父親として家事や育児に積極的に参加し、妻の負担を軽減することが大切です。
それを実現するためにも、家事や育児ができるよう理解のある職場に移ったり、子の看護休暇やリモートワークの制度が整っている会社へ転職するということが重要になってきます。自分だけのキャリアだけでなく、妻が継続的に働けるようにするためにキャリアをどう積み上げるか、という観点を加えることにより、家族の幸せの総量が増やせると思っています。
僕の場合は子の看護休暇がある会社に転職したため、年間10日程度であれば休暇を取得することができます。
また、リモートワークも可能なため、子どもの面倒を見ながら作業をしたり、寝かしつけたあとに仕事をすることもできるため、働き方を柔軟に変えることができます。
まとめ
先の見えない時代において、万が一のために打てるべき手は打っておいたほうがよいと考えています。
仕事においては自分の価値を最大限高めるためにも、あえて積極的に転職するという選択肢を持ってみてはいかがでしょうか。
転職直後は一時的に大変な思いをするかもしれませんが、長期的に見て得られるメリットは大きいと思いますので、ぜひ前向きに検討してみてください。